相続手続きは戸籍の収集をして、相続人を確定させることからスタートします。不動産の名義変更や預金口座の解約など、相続の手続きをするときに、被相続人の「戸籍関係書面」の提出を求められます。
今回は、「どうすれば手続きに必要な戸籍を集めることができるの?」という質問に司法書士が対話形式でお答えします。この記事を読むことで戸籍の集め方が理解できるようにまとめていますので、是非、参考にしてください。
〔登場人物〕
Aさん=亡くなった父の不動産の名義変更について司法書士へ相談
F先生=司法書士
Aさん:父が亡くなり、預金の解約や相続した不動産の名義変更をしたいです。銀行からは預金口座の解約には父の戸籍関係書面が必要と聞きました。父の亡くなったときの戸籍1通を準備すればいいのですか?
F先生:お父様の「出生から死亡までの戸籍関係書面」が必要になります。お父様が生まれてから亡くなるまでの、戸籍関係書面になります。
Aさん:亡くなったときの戸籍だけではないのですね。どのようにして集めていけばいいでしょうか?
F先生:戸籍関係書面は、本籍のある市町村役場で取得することができます。お父様は亡くなられたときの本籍地は岡山市でしょうか?その他、お父様が本籍を置いていたと考える場所はありますか?
Aさん:父は亡くなるときは、岡山市に本籍がありました。父の実家は倉敷市にあります。岡山市に結婚して引っ越す前までは、倉敷市に本籍があると思います。
F先生:まず、岡山市の市役所に戸籍関係書面を請求することになります。戸籍には、「戸籍謄本」「除籍謄本」「改正原戸籍」があります。戸籍の種類により費用は異なります。
Aさん:戸籍にも色々、種類があって難しいですね。どの戸籍を請求すればいいのか不安になってきました。
F先生:市役所に行って、「相続手続きに使いたいので、父の出生から死亡までの戸籍を全て出して下さい」と伝えると、その市役所にある戸籍関係書面は全て出してもらえます。
Aさん:安心しました。その次は倉敷市に請求すればいいのですか?
F先生:岡山市で取得した戸籍から、お父様がどの場所から岡山市へ移転したのかを読み取る必要があります。そして、岡山市へ移転する前の市町村役場へ同じように請求をします。
Aさん:戸籍を読み取るのは私でもできるでしょうか?戸籍など見たことが人生でもほとんどありません。
F先生:市役所で戸籍を受け取るときに、「次はどこに請求すればいいですか?」と質問をしたら、対応をしてもらえると思います。次は教えてもらった市町村役場へ同様の請求をします。
Aさん:わかりました。父の戸籍がつながるまで同じ作業を繰り返せばいいのですね。
F先生:はい。Aさんのケースだと、岡山市と倉敷市の二カ所に請求することになると思いますが、戸籍を確認しないと正確にはお答えできません。
Aさん:市役所には直接、行かなければならないのですか?郵送ではできないのでしょうか?
F先生:郵送で請求することもできます。その場合は定額小為替を購入して、手数料を納付することのなります。
Aさん:郵送でもできるのですね。定額小為替は聞いたことがあるのですが、よくわかりません。どこで購入できますか?
F先生:定額小為替は郵便局の窓口で購入できます。発行には1枚につき手数料200円がかかります。戸籍関係書面は請求するまで、通数がわからず、手数料がいくらかかるのかわかりません。だから、少し多めに入れておいた方がいいです。
Aさん:定額小為替は少し多めにですね。どのくらい入れておけばいいですか?
F先生:倉敷市への請求のときには、3000円入れておけば足りると考えます。お釣りは定額小為替で返ってくるので、現金では返ってきません。郵便局へ行けば、現金に換えてくれます。
Aさん:ありがとうございました。先生のおかげで戸籍関係書面の取得方法がよくわかりました。
今回は戸籍関係書面の取得について解説をしました。戸籍は種類も多いですが、上記の手続きを繰り返すことで集めることができます。戸籍関係書面を揃えることで、相続人が確定します。相続人を確定させるためには、法律知識がないと難しいケースもあり、間違えると手続きがやり直しになるので、専門家へご相談いただくことをオススメします。
作成者:司法書士 福島良太(岡山県司法書士会 登録番号920)
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